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コラム

【検証】「世帯年収700万でも買えない・新築平均1億円超」は本当か──長嶋修×菱田雅生の住宅ローン対談をデータでレビュー

公開:2026年7月5日執筆:インフレ防衛メディア編集部データ基準日:2026年7月5日

不動産投資メディア「楽待」が2026年7月5日に公開した対談動画は、不動産コンサルタントの長嶋修氏(さくら事務所会長)と、独立系FPの菱田雅生氏(ライフアセットコンサルティング代表)が、「世帯年収700万円の中間層がもう都心新築を買えない」現実を入口に、住宅ローンの落とし穴を掘り下げる内容です。論点は「新築平均1億円超」「借りられる額と返せる額の混同」「家計の使途不明金」「ペアローンと離婚」「教育費のピーク」「50年ローンを銀行が勧める理由」へと広がります。本記事では、タイトルとチャプターに掲げられた主張を、不動産経済研究所・東京カンテイ・リクルート・文部科学省・住宅金融支援機構といった一次データと突き合わせて検証します。結論を先に言えば、価格・年収倍率・ペアローン利用率・教育費・50年ローンの利息増は、いずれも公的データや大手調査とよく整合します。日銀が政策金利を1%へ引き上げ、フラット35が3%を超えた2026年夏のいま、方向としての誇張はほぼありません。ただし「銀行が勧める本当の理由」のような動機の部分は、データで直接は裏取りできない解釈である点に注意が要ります。

この記事の結論(30秒版)

動画の評価: 「東京23区の新築平均は1億3,000万円台」「世帯年収700万円では都心新築に手が届かない」「50年ローンは月々が軽くなる代わりに総利息が大きく増える」という骨子は、不動産経済研究所・東京カンテイ・モゲチェック試算など一次データときれいに整合する。一方で「銀行が勧める本当の理由」は利息収入増という構造からの推論で、銀行側の動機を直接示す統計・報道は確認できない。

視聴をすすめる人: これから住宅購入やペアローン・超長期ローンを検討する共働き世帯。 すすめない人: 「買うな」か「買え」かの結論だけを短時間で知りたい人。

レビュー対象の動画

【世帯年収700万でも買えない】新築平均1億円超の現実/「借りられる額」と「返せる額」の危険な勘違い/ペアローンで離婚したらどうなる/50年ローンを銀行が勧める本当の理由《長嶋修×菱田雅生》のサムネイル
動画タイトル
【世帯年収700万でも買えない】新築平均1億円超の現実/「借りられる額」と「返せる額」の危険な勘違い/ペアローンで離婚したらどうなる/50年ローンを銀行が勧める本当の理由《長嶋修×菱田雅生》
出演
長嶋修氏(不動産コンサルタント・さくら事務所会長)/菱田雅生氏(ライフアセットコンサルティング代表・CFP®)/堤友香氏(司会)
公開日
2026年7月5日公開(楽待)
主なテーマ
新築マンション価格高騰/住宅ローンの適正額/ペアローン・50年ローンのリスク/教育費と家計管理
こんな動画

中間層の住宅取得難をテーマに、市況分析の長嶋氏と家計・ローン実務の菱田氏が、価格高騰の構造と「借り方」の落とし穴を整理する約40分の対談。買い煽りでも悲観でもなく、慎重な資金計画を促す立場です。

動画の内容(チャプター別1分要約)

約40分の対談を、概要欄の公式チャプターに沿って論点ごとに整理します。※要約は概要欄のチャプター構成と、両氏が公開している著作・記事での主張に基づく論点整理です。個別の発言の詳細は動画本編をご確認ください。

00:00

オープニング──中間層が買えない時代

東京23区の新築マンション平均価格は1億3,000万円台に達し、「世帯年収700万円」の中間層が都心新築に手を出せない時代になった。番組全体の問題意識が提示される。

03:39

新築マンション価格はなぜ上がり続けるのか

資材費・人件費による建築費の高騰、地価の上昇、パワーカップルや国内外の富裕層・投資家の需要集中という構造の解説。長嶋氏はかねて「上がるのは上位1〜2割で、市場は三極化する」と一貫して主張してきた論点だ。

07:44

借りられる額と返せる額の混同

銀行の審査上限(返済負担率30〜35%)は「貸せる額」であって「返せる額」ではない。菱田氏の持論である「住宅ローンは借りられる金額ではなく返せる金額で組む」が本編の核になる論点。

11:00

家計の棚卸しで見えてくる使途不明金

購入前に家計の収支を棚卸しし、毎月どこに消えているか分からない支出を可視化してから返済計画を立てる、というFP実務のプロセス。返済額の逆算は「いくら貯蓄を残せるか」から始まる。

15:24

ペアローンと離婚リスク

夫婦2人の収入を前提に借入額を膨らませるペアローンは、首都圏新築契約者の3人に1人が利用するまで一般化した。離婚時には共有名義と相互の連帯保証が外せず、売却も返済も行き詰まりやすいという警鐘。

20:24

教育費のピークを無視した購入

教育費は子どもの成長とともに重くなり、高校〜大学で年100万〜200万円規模のピークを迎える。購入時点の家計だけで返済額を決めると、10年後の教育費ピークと重なって家計が回らなくなるという指摘。

25:29

50年ローンの甘い罠

返済期間を50年に延ばせば月々の返済は数万円軽くなるが、総利息は大きく膨らみ、金利も35年型より上乗せされる例が多い。月々の安さだけを見て借入額を増やすことの危うさと、銀行側の収益構造に踏み込む論点。

33:00

子の独立後に広すぎる家が残る

教育期に合わせて買った広い家は、子どもの独立後に持て余す。ライフステージの変化と住み替えまで含めた長期の資金計画で締めくくられる。

【独自検証】動画の主張は本当か?データと突き合わせた

タイトル・チャプターに掲げられた主張を、一次情報・大手調査で検証しました。

動画の主張検証結果判定
新築マンションは平均1億円超東京23区の2025年平均は1億3,613万円(前年比+21.8%、3年連続1億円超)。2026年5月には首都圏平均でも1億660万円と、月次で1都3県平均が1億円台に。○ 整合
世帯年収700万円でも買えない返済負担率25%・35年返済での借入目安は約4,300万〜5,400万円で、23区新築平均の半分以下。菱田氏自身の試算でも1億円物件には30歳購入で年収1,060万円程度が必要。東京都の新築年収倍率は17.00倍と全国最高。○ 整合
「借りられる額」と「返せる額」は別物フラット35の審査基準は年収400万円以上で返済負担率35%以下、民間銀行も概ね30〜40%。一方FPの推奨は手取りの20〜25%。同じ年収でも試算上2,000万円超の差が出る。○ 整合
ペアローンが一般化し、離婚時にリスクになる首都圏新築契約者の36%がペアローン利用(年収1,000万円以上の共働きでは74%)。2024年の離婚は18万5,904組。離婚後も連帯保証・共有名義が残り「2人分返済・売却困難」の事例は日経も報道。○ 整合
教育費のピークを無視すると危ない文科省調査で幼稚園〜高校の学習費はすべて公立614万円・すべて私立1,969万円。日本政策金融公庫調査では高校入学〜大学卒業だけで平均942.5万円と、負担は後半に集中。○ 整合
50年ローンが広がっている住信SBIネット銀行(2023年)を皮切りにauじぶん銀行・PayPay銀行等が参入。PayPay銀行では20代の70%が35年超〜50年を選択。フラット50の30歳未満申請は2024年に前年比2.6倍。○ 整合
50年ローンを銀行が勧める「本当の理由」6,000万円・年0.75%の試算で総利息は35年約823万円→50年約1,197万円と約1.5倍。金利0.1%程度の上乗せも一般的で、銀行の利息収入が増える構造自体は事実。ただし「勧める動機」を直接示す統計・報道は確認できず、解釈の域。△ 構造は事実・動機は推論
マンション価格は今後も上がり続ける建築費指数は前年比+5.5%、2026年公示地価は東京+8.4%・路線価は東京+9.4%と上昇継続。ただし長嶋氏自身が「上がるのは上位10〜15%で残りは値下がりする三極化」と限定しており、「全部が上がる」わけではない。△ 都心限定なら整合

判定の凡例: データと整合 / シナリオ・観測段階/解釈を含む / データと矛盾

数字で見る「1億円マンション時代」の足元

1億3,613万

東京23区の新築マンション平均価格(2025年・前年比+21.8%)

17.00

東京都の新築マンション年収倍率。全国平均10.38倍も8年連続で拡大

36%

首都圏新築マンション契約者のペアローン利用率。年収1,000万円以上の共働きでは74%

3.21%

フラット35の2026年6月最低金利。現行制度で初の3%超え

※新築価格は不動産経済研究所(2025年暦年)、年収倍率は東京カンテイ(2025年12月発表)、ペアローン利用率はリクルート「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」、フラット35は住宅金融支援機構の公表値に基づきます。

あわせて押さえたい用語

この動画に関連する指標

指標足元の水準動画内の文脈と注目ポイント
日銀政策金利1.00%(2026年6月16日に0.75%から引き上げ・31年ぶり高水準)変動金利の前提が変わる。多くの銀行は2026年10月改定に反映見込み
変動型住宅ローン金利ネット系平均で年1.1%前後新規貸出の83.5%が変動型。0.25%上昇で5,000万円・35年なら月約5,900円増の試算
フラット35(固定)3.21%(2026年6月・2カ月で+0.82%)「借りられる額」の前提を直撃。固定と変動の金利差は過去最大級
建築費指数(集合住宅・東京)前年比+5.5%新築価格が下がりにくい供給側の理由
東京都の公示地価・路線価公示地価+8.4%/路線価+9.4%(いずれも2026年・全国最大)土地代の上昇が都心新築の価格を押し上げる

※本表は動画のテーマに関連する公表指標の整理であり、特定の金融商品・不動産の取得や売買を推奨するものではありません。

編集部の見解:同意する点・しない点

✓ 同意する点

  • 「借りられる額≠返せる額」は数字で裏付けられる王道の警鐘。審査上限(返済負担率30〜35%)とFP推奨(手取り20〜25%)の差は同じ年収で2,000万円超になり、金利上昇局面ではこの差がそのまま破綻リスクになる
  • ペアローン・50年ローンという「借入額を増やす技術」が価格高騰を追認してきた構図の指摘は、契約者調査(ペアローン36%・平均借入額5,956万円と過去最高圏)と整合する
  • 教育費ピーク(高校〜大学で942.5万円)を返済計画に織り込むべきという実務論は、文科省・公庫の一次データどおり

✗ 異論・補足

  • 「銀行が勧める本当の理由」は利息総額が約1.5倍になる構造からの推論であり、銀行の動機を直接示す証拠はない。50年ローン自体は、若年層が現実的な月額で持ち家を得る手段という側面もあり、一律に「罠」とまでは言い切れない
  • 「新築平均1億円超」は東京23区・都心の話。首都圏平均は暦年ベースで9,000万円台、全国で見れば水準はさらに下がる。長嶋氏自身の三極化論のとおり、「どこでも上がり続ける」と読み替えるのは誤り

当メディアの視点: この動画から持ち帰るべきは「家を買うな」ではなく、インフレ・金利上昇局面での3つの実務です。①返済額は「銀行がいくら貸すか」ではなく「手取りの20〜25%以内で、教育費ピークの年に貯蓄が続くか」で逆算する。②ペアローンは離婚だけでなく、産休・育休・転職など片方の収入が細るシナリオで耐久テストをしてから使う。③50年ローンは「月々いくら安くなるか」ではなく「総利息がいくら増えるか」と「金利上乗せ」を必ず見積書ベースで確認する。住宅は最大のインフレ連動資産である一方、借入は最大の金利上昇リスクです。買う・買わないの前に、金利1%時代の返済計画に家計が耐えるかを数字で確かめてください。

この動画をおすすめできる人

  • ペアローンや40〜50年ローンを前提に、都心・準都心の新築購入を検討している共働き世帯
  • 「いくらまで借りていいか」を銀行の審査額ではなく家計から逆算したい人

おすすめしない人

  • 「買うべきか否か」の結論や、個別エリア・物件の値上がり予想を求める人
  • すでに固定金利で無理のない返済計画を組み終えている人(新しい情報は多くない)

よくある質問

「新築マンション平均1億円超」はどこの数字ですか?

東京23区の話です。不動産経済研究所によると、2025年の東京23区の新築分譲マンション平均価格は1億3,613万円(前年比+21.8%)で、3年連続の1億円超えでした。首都圏(1都3県)平均は暦年で9,182万円ですが、2026年5月の月次では首都圏平均も1億660万円と1億円台に乗っています。

世帯年収700万円だと、いくらの物件までなら現実的ですか?

一般的な目安である返済負担率25%・35年返済で試算すると、借入の上限は金利水準により約4,300万〜5,400万円です。FPが推奨する「手取りの20〜25%」で組み、教育費のピークや金利上昇余地を織り込むなら、頭金を除いた借入は4,000万〜5,000万円台前半が現実的なラインになります。菱田氏の公開試算でも、世帯年収700万円の共働き夫婦の上限は5,000万円程度とされています。

ペアローンで離婚したら実際どうなるのですか?

ペアローンは夫婦それぞれが債務者となり、多くの場合互いの連帯保証人にもなります。離婚しても連帯保証は自動的には外れず、家は共有名義のため双方の同意がないと売却できません。残債が売却価格を上回る「オーバーローン」だと売却自体が難しく、「離婚後も2人分の返済が続き、売却先も見つからない」という事例が報道されています。

50年ローンは使ってはいけないのですか?

一律にダメというわけではありません。月々の返済を抑えて若いうちに持ち家を得る手段になる一方、6,000万円・年0.75%の試算では総利息が35年の約823万円から50年で約1,197万円へと約1.5倍に増え、金利も0.1%程度上乗せされる例が多くあります。「月々が安いから」と借入額そのものを増やすと、金利上昇時の打撃も大きくなります。繰上返済の計画とセットで、総支払額ベースで判断するのが安全です。

出典・参照データ

  1. レビュー対象動画:【世帯年収700万でも買えない】新築平均1億円超の現実《長嶋修×菱田雅生》(楽待 RAKUMACHI・YouTube) 2026/7/5公開
  2. 新築マンション平均価格:不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」(2025年暦年まとめ・nippon.com2026年5月度・日本経済新聞
  3. 年収倍率:東京カンテイ「新築マンション年収倍率」2025年12月8日発表(PDF)
  4. ペアローン利用率・平均借入額:リクルート「首都圏新築マンション契約者動向調査(2025年)」(PDF)
  5. ペアローンと離婚:住宅ペアローンの誤算 離婚後は2人分返済、売却模索も買い手つかず(日本経済新聞) / 離婚件数:厚生労働省「令和6年 人口動態統計(確定数)」
  6. 50年ローン:50年ローン、若年層で拡大(共同通信)住信SBIネット銀行ニュースリリース(2023年8月)フラット50(住宅金融支援機構)
  7. 返済負担率の審査基準:フラット35公式FAQ(総返済負担率)
  8. 教育費:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(令和3年度・PDF)
  9. 住宅ローン貸出動向(変動83.5%等):国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月)」
  10. 建築費・地価:建設物価調査会「建築費指数」国税庁「令和8年分の路線価等」
  11. 金利環境:フラット35が現行制度で初の3%超え(当メディア)変動住宅ローン金利は10月に上がるか(当メディア)
  12. 出演者の関連発言:長嶋修氏「2026年のマンション市況を大胆予測」(楽待不動産投資新聞)菱田雅生氏「1億円の家を買える年収」(ダイヤモンド不動産研究所)

※ 本記事のチャプター要約は動画概要欄の公式チャプターと、両氏が公開している記事・著作での主張に基づく論点整理です。本記事は動画の主張を公開情報で検証したものであり、将来の不動産価格・金利を保証するものではありません。

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本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言・住宅取得の推奨ではありません。住宅ローンの選択は個人の収入・資産状況によって異なり、将来の金利・価格は予測できません。記載の数値は本記事のデータ基準日(2026年7月5日)時点の公表統計・報道に基づきます。動画の内容に関する権利は制作者に帰属します。最終判断はご自身の責任で行ってください。

インフレ防衛メディア編集部

「事実(開示・報道)と値動きを分けて見る」を編集方針に、初心者向けの資産防衛情報を整理しています。 本記事は投資助言ではありません。